すべての人は、家族の一員であり、またはかつて一員であったはずです。
日本の社会では、家族とはどのような人間関係に基づく間柄をいうのか、家族間にはどのような義務があり、権利があるのかを、民法の第4編親族と第5編相続が定めています。
この民法の第4編と第5編を合わせた部分は、家族法と呼ばれています。
そもそも日本の民法は明治31年(1898年)7月16日に施行されましたが、民法の中の家族法の部分は、日本国憲法制定を受けて、昭和22年(1947年)12月に全面改正されました。
家族法は、人に例えるならば戦後生まれの68歳です。しかし昭和22年(1947年)の改正は全面改正とは言っても、日本国憲法に抵触しない部分は改正前の規定が継承されたところもあって、明治時代の考え方も家族法の基盤の一部となっています。
明治時代、戦後まもなくの頃、そして現代の「家族」の姿についての考え方は、家制度中心、夫婦の平等化、家族の多様化と、移り変わってきています。
多様化した家族と、前述のような成り立ちの家族法にはずれが生じていることは、多くの人が感じています。国も家族法の改正について審議を続けており、家族法の一部は改正されてきました。昭和51年(1976年)の離婚後の婚氏続称制度の創設、昭和55年(1980年)の配偶者の法定相続分の引上げは、改正の例の一部です。
家族法の再婚禁止期間の規定(733条)と夫婦の氏の規定(750条)の規定も審議の対象となってきましたが、今まで改正は留保されてきました。
そして平成27年(2015年)12月16日に、憲法訴訟において最高裁が再婚禁止期間の規定を違憲と判断し、この規定は、平成28年(2016年)に改正されることが確実となりました。
他方、同日に最高裁は夫婦別姓を禁じた夫婦の氏の規定を合憲と判断しました。もっとも、今回は合憲判決であって、違憲による改正には至らなかった夫婦の氏の規定も、最高裁は国会での議論と判断を求めており、社会全体でも議論が広がり、深まっていくに違いありません。
家族法は、人自身と、人が繋がる家族のための規定であるので、人の考え方や生活の変化に合わせて家族法が変わるのは自然なこと言えます。
これからも、家族法に注目です。
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